平成27年4月1日 建設業法の改正について
平成27年4月1日から建設業法が改正され、新しいルールでの運用がスタートします。厳密には、建設業法の改正自体は平成26年に公布されていましたが、それが有効になるのが平成27年4月1日以降ということです。
建設業法の改正のうち「建設業許可」に関する観点から、4つのポイントをご紹介いたします。
平成27年4月1日建設業法改正の4つのポイント
その1 欠格事由に「暴力団員であること」が追加になり、さらに「相談役」なども適用対象になります。
役員(取締役)が破産者や成年被後見人など、一定の項目に該当すると建設業許可を受けることが出来ません。これを欠格事由といいます。
今回の改正ではまず、欠格事由に「暴力団員であること」などが追加になります。そしてその適用を受ける範囲が役員だけでなく、相談役や株主にも拡大され、法律の遵守(コンプライアンス)が厳しく求められることになります。
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その2 解体工事が新設されます。
40数年ぶりに建設業の業種(許可区分)が改正になります。
現行は28の業種(許可区分)がある建設業ですが、ここに「解体工事」が新設されます。
解体工事はこれまで「とび・土工工事」のひとつとされていましたが、改正後は「とび・土工工事」から分離・独立する形で「解体工事」という業種が新設されます。
解体工事に関する手続きなどは平成28年6月までにスタートします。
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その3 建設業許可手続きが大きく変わります。
欠格事由に関するルールが変更になったこともあり、建設業許可申請書の様式が変更になります。この他にも、「許可申請書の閲覧の限定」「許可申請書の簡略化」「その他許可事務の見直し」「専任技術者(主任技術者)の要件の見直し」などがあります。
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その4 施工体制台帳の作成対象工事と記載事項が見直しになります。
公共工事に関しては金額にかかわらず、施工体制台帳の作成が義務付けられます。したがって、改正後は一般建設業者でも施工体制台帳の作成が必要になる可能性が高くなります。またそれに伴って記載事項も見直しになりました。
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平成27年4月1日建設業法改正の4つのポイント
その1 欠格事由に「暴力団員であること」が追加になり、さらに「相談役」なども適用対象になります。
役員(個人事業主の場合は本人)が、破産者や成年後見人など、一定の項目に該当する場合は、建設業許可を受けることが出来ません。この一定の項目のことを欠格事由と言います。
平成27年4月1日からは、この欠格事由に「暴力団員であること」などが追加されます。
追加になる欠格事由の項目(建設業法第8条)
① 暴力団員
② 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
③ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
さらに、欠格事由が対象となるのは役員だけでなく、「相談役」なども適用対象者になります。
追加になる欠格事由の適用対象者(建設業法第5条参照)
① 相談役
② 顧問
③ 総株主の議決権の5/100以上を有する株主
※「相談役」や「顧問」はその名称で判断されません。つまり、「アドバイザー」や「コンサルタント」などのように、名称だけ変えても、実質的に「相談役」や「顧問」であると認められるときには、適用対象者となります。
平成27年4月1日建設業法改正の4つのポイント
その3 建設業許可手続きが大きく変わります。
- 建設業許可申請書様式が変更になり、申請書類の閲覧対象も大きく変わります。
- 欠格事由の適用範囲が「役員」だけではなくなったので「役員等」という文言に変更になります。
- 閲覧制度が見直しになり、住所や生年月日などの個人情報が記載された書類は閲覧の対象にならなくなります。これにより、許可申請書のうち、役員一覧表などについては役員個人の住所や生年月日の記載は不要となります。
- 許可申請書の簡素化が行われ、役員や令3条使用人の略歴書については、住所と生年月日のみ記載すればよくなります。なおこの書類は閲覧対象になりません。
表1:変更になる様式(おもなもの) 様式番号 改正前の様式名 改正後の様式名 主な変更内容 閲覧の
対象第1号
別紙1役員の一覧表 役員等の一覧表 - 生年月日と住所欄は削除
- 経営管理責任者欄が新設され該当役員は「○」
- 相談役と株主も記載が必要になる
○ 第1号
別紙4- 専任技術者一覧表 - 新設
- 所属営業所、専技の氏名、担当業種、有資格区分の記載が必要になる
- 様式第8号は閲覧対象ではなくなった。
○ 第7号 経営業務の管理責任者証明書 経営業務の管理責任者証明書 大きな変更はないが閲覧対象ではなくなった。その代わり、第1号別紙1で経管が誰かはわかる仕組みになっている。 × 第7号の別紙 - 経営業務の管理責任者の略歴書 - 新設
- 閲覧対象ではない
× 第8号 専任技術者証明書(新規・変更) 専任技術者証明書(新規・変更) - 様式番号が第8号(1)→第8号になった
- 大きな変更はないが閲覧対象ではなくなった
× 第8号
(2)専任技術者証明書(更新) - 削除 - 第11号 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表 生年月日と住所欄は削除 ○ 第11号の2 国家資格者等・監理技術者一覧表 国家資格者等・監理技術者一覧表 変更はないが閲覧対象ではなくなった × 第12号 許可申請書の略歴書 許可申請書の住所、生年月日等に関する調書 - 経管ではない役員については「経歴」の記載が不要になった
- 相談役と株主も提出が必要になった
- 閲覧対象ではない
× 第13号 建設業法施行令第3条に規定する使用人の略歴書 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書 - 令3条使用人ついても役員と同様、経歴の記載が不要になった
- 閲覧対象ではない
× 第14号 株主調書 株主調書 変更はないが閲覧対象ではなくなった × 【その他】 - 登記事項証明書
- 納税証明書
閲覧対象ではなくなった × ※上表以外にも、「役員」→「役員等」など細かい点で変更が入っていますのでご注意ください。
- その他の建設業許可申請事務の見直しがあります。
- 大臣許可業者の都道府県における閲覧制度が廃止になります。これによって、許可申請書類の提出部数が変更になります。
表2:大臣許可の提出部数 改正前の提出部数 改正後の提出部数 ① 正本(大臣許可申請用) 正本(大臣許可申請用) ② 副本その1(会社保管用) 副本(会社保管用) ③ 副本その2
(従たる事務所を管轄する都道府県用)- - 専任技術者の要件を確認する書類として「監理技術者資格者証」の写しも認められるようになりました。
- 大臣許可業者の都道府県における閲覧制度が廃止になります。これによって、許可申請書類の提出部数が変更になります。
- 一般建設業の専任技術者(=主任技術者)の要件が見直しになります。
職業能力開発促進法による技能検定の見直しです。新設され、新たに専任技術者の要件として認められるようになった検定がある一方で、削除されたものもあるので、注意が必要です。新設された要件
① 「型枠施工」 … 大工工事の専任技術者の要件に追加
② 「建築板金(ダクト板金作業)」 … 管工事の専任技術者の要件に追加廃止された要件
① 「コンクリート積みブロック施工」 … 石工事、タイル工事から削除
② 「スレート施工」 … 屋根工事から削除
③ 「れんが積み」 … タイル工事から削除
※いずれも検定自体の廃止に伴うもの
平成27年4月1日建設業法改正の4つのポイント
その4 施工体制台帳の作成対象工事と記載事項が見直しになります。
- 作成が必要な工事と業者
施工体制台帳はこれまで、公共工事か民間工事かにかかわらず、下請に発注する金額の合計が3,000万円以上(建築一式は4,500万円以上)の場合に作成が義務付けられていました。つまり、特定建設業の許可業者に作成が求められていたことになります。
改正後は、公共工事については金額にかかわらず施工体制台帳の作成が義務付けられます。これにより、一般建設業の許可業者でも、公共工事を受注すれば施工体制台帳の作成が必要になるということです。 - 記載事項の変更
一般建設業の許可業者でも施工体制台帳の作成が必要になる可能性があるということで、元請業者の配置技術者の欄が「主任技術者」を記載するように変更になります。
また、外国人材の活用を図るための緊急措置の導入に伴い、外国人建設就労者と外国人技能実習生の従事の有無を記載することになります。これは再下請通知の場合も同様です。