建設業者の義務(特定建設業者の義務)
1.施工体制台帳等の作成
(1)施工体制台帳
特定建設業者が発注者から直接請け負う元請となって、4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上を下請に出すときは、下請、孫請けなど当該工事に係るすべての業者名(無許可業者を含む)、それぞれの工事の内容、工期などを記載した施工体制台帳を作成し、工事現場に備えつけなければなりません。
また、下請に対して再下請通知をしなければならない旨を通知し、かつ、工事現場の見やすい場所に、元請である特定建設業者の名称と再下請通知書の提出先を掲示しなければなりません。(法24条の7第1項、第2項)
その特定建設業者は、発注者からの請求があれば工事現場ごとに備えた施工体制台帳を閲覧させなければならないほか、公共工事ではその写しを発注者に提出しなければなりません。(法24条の7第3項)
(2)施工体系図
施工体制台帳を作成した特定建設業者は、当該台帳や下請業者からの再下請の通知をもとに、各下請の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、工事現場の見やすい場所(公共工事の場合はこれに加えて公衆の見やすい場所)に掲示しなければなりません。(法第24条の7第4項)
(3)公共工事の特例
公共工事では、元請業者は、請負金額にかかわらず、施工体制台帳を作成しなければなりません。(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第15条)この場合、一般建設業者であっても、施工体制台帳等を作成します。
2.下請代金の支払い
下請代金については、元請負人と下請負人の合意により交わされた下請契約に基づいて適正に支払わなければなりません。
元請負人が注文者から請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、下請負人に対して、元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければなりません。(法第24条の3)
元請負人が特定建設業者であり下請負人が一般建設業者である(資本金額が4000万円以上の法人を除く。)である場合、発注者から工事代金の支払いがあるか否かにかかわらず、下請負人が引渡しの申出を行った日から起算して50日以内で、かつ、できる限り短い期間内において期日を定め下請代金を支払わなければなりません。
そのため、特定建設業者の下請代金の支払期限については、注文者から出来高払い又は竣工払を受けた日から1月を経過する日か、下請負人が引渡しの申出を行った日から起算して50日以内で定めた支払期日のいずれか早い期日となります。(法第24条の5)
3.下請負人の指導
発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、その建設工事の下請負人が、その下請負人に係る建設工事の施工に関し、下記(1)~(3)の規定に違反しないよう下請負人の指導に努め、また、違反を認めたときには、その事実を指摘し是正を求めるように努めなければなりません。(法第24条の7第1項及び第2項)
(1)建設業法の規定
(2)建設工事の施工に関する法令(建築基準法、宅地造成規制法)
(3)建設工事に従事する労働者の使用に関する法令(労働基準法、職業安定法、労働安全衛生法等)
4.違反の通報
上記3の特定建設業者が是正を求めたにもかかわらず、下請負人が違反している事実を是正しないときには、その特定建設業者は、下請負人が建設業者(許可業者)であるときは、許可行政庁又は営業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に、その他の建設業を営む者(無許可業者)であるときには、その建設工事の現場を管轄する都道府県知事に速やかにその旨を通知しなければなりません。(法第24条の6第3項)